ホームシアターシステムとサウンドバーを持っている。カタログページはあくまでも「売りたい人」の目線で書かれているので「後悔しそうなポイント」についてはあまり触れられていない。
そこで、あえて「後悔するポイント」を調べてみた。なお「ドルビーアトモス」など専門的な人のための情報は書いていない。おそらくある程度知識がある人はカタログのスペックは読めると思う。どちらかというと「そもそもカタログのどこを見ればいいのか?」という人向けに情報をまとめてある。
ホームシアターシステムを買って後悔する人
はじめに
- 初期型のホームシアターシステムは配線が面倒だった。ネットワーク型はネットワークによる遅延が発生する可能性がある。
- ある特定の場所で効果的な音が聴こえる「定位置問題」があった。
- こうした面倒を避けたい人はサウンドバーを選択したほうがいい。現在のAmazonのランキングの上位10位にはスピーカーが独立したホームシアターシステムは入っていない。
初期型は意配線が厄介だった
上手にホームシアターシステムを設定すると「音で包まれる感覚」が得られる。今でも中古で性能の良いものが売られているので一度ハードオフなどをチェックしてみると良いと思う。
だが、それでに物理的なスピーカーは配線がやや面倒だ。たとえばこのSONYのホームシアターシステムは特殊なプラグを使っている。コードを束ねて使っていると重みで接続が緩む。このため、使わない間に音が聞こえなくなることがある。おそらくプラグがへたってきているのだろう。そのため定期的にサウンドテストをして結線が正しくできているかを確認する必要があった。
この配線の厄介さが最初の問題だった。結線の問題のないサウンドバーが売れたのはおそらくホームシアターシステムのメンテナンスが面倒だったからだろう。

最近はスピーカーさえ置けば自動的に音場を計測してくれる機能がついているホームシアターシステムが出ている。だが高価なソリューションが多い。SONYのHT-A9はAmazonでサブウーハーなしでも213,000円という価格である。
また無線型はホームネットワークに依存するためにネットワークメンテナンスという別の手間が出てくる。つまりWi-Fiの設定をしなければならないのである。パソコンの設定に慣れている人には大した問題にはならないがやはりネットワーク設定は苦手という人も多いだろう。こういう人は最初からサウンドバーを選択したほうがいい。
どこでもいい音が聴こえるわけではないという定位置問題
ホームシアターは確かに臨場感のあるいい音がする。ただ、最大限の効果を得るためには定位置を決める必要がある。ホームシアターには大きなテレビの前にソファがあるというデザイン上の前提がある。
ある程度広い家に住んでいるかあるいはシアター専用の空間を確保できるならホームシアターシステムの方が音質が良いということになる。だが、6畳程度のワンルームに暮らしている人には過剰な投資かもしれない。
部屋が広いのなら問題はないのだが、色々とごちゃごちゃと置かれている部屋に5つのスピーカーと1つのサブウーハーの箱があるとどうしても「邪魔だなあ」と感られる。

定位置さえ決めてしまえるならばMacの接続は簡単
ここまでは悪口ばかりを書いてきた。だが一度設置してしまえばあとは気軽に良い音が得られるというメリットもある。最近のソリューションはBluetoothがついているものも多くiPhoneなどの接続も容易になっているようだ。
また、Wi-Fi対応されていないものであってもAppleTVやAirMac Expressなどを使えばMacとの接続もそれほど難しくない。中古のAppleTVは1,000円から2,000円くらいで売られているし、AirMacExpressであれば500円くらいで手に入ったりする。つまりハードオフなどで古い形式のホームシアターシステムを買ってもそれなりの環境が構築できる。
投資するなら思い切って
きちんと音楽を聴くことができる場所を整備した上で徹底的にお金をかけられるならホームシアターシステムは良い選択肢だ。有線よりも無線の方がスピーカーのメンテナンスが面倒ではない。これを書いている現在ではHT-A9が最もよく売れているようだ。ワイヤレスで音場設定などをすべてやってくれるそうだ。だがサブウーハーなしで価格が20万円以上だ。
いきなり20万円を出せないという人はハードオフなどの中古で安いシステムを購入してみるのがいいかもしれない。4,000円から10,000円程度出せばそこそこの中古品が手に入る。もしくは最初からサウンドバーにした方がいいだろう。
サウンドバーを買って後悔する人
はじめに
ホームシアターシステムはあまりにも高い。このため現実的なソリューションとしてサウンドバーシステムがよく売れている。ただ、スペックがよく読めないと期待通りの効果が得られないことがある。
Amazonのランキングではサウンドバーと単なるPCスピーカーの区別がされていないのだ。ランキングに出てくるものはほとんどがバーチャルサラウンド付きのサウンドバーなのだ、中には2,398円のPCスピーカーなども混じっている。安いからという理由でPCスピーカーを買ってしまうと「何だこんなものか」となりかねない。
何を見て良いかわからないという人がまず最初に見るべきスペックは二つある。チャンネル数とサイズ(横幅)だ。
重低音よりコスパを意識する人が多いようだ
重低音がでないと後で後悔するのではないかという人もいるだろう。確かに家で映画館のような体験をしたいと期待するとがっかりするかもしれない。ただ自宅を映画館のようにしてしまうと防音設備に気を使わなければならなくなる。
2023年1月時点で最もよく売れているのがソニーの10,000円程度のサウンドバーHT-S100Fである。である。ソニー製品というと安心できそうだしフロントスピーカーだけでも擬似サラウンドの効果があるそうだ。さらにHDMI接続もできBlootoothも使える。ただしアプリ操作には対応していない。また立体サラウンドでもない。重低音は強化されているのだが重低音専用のサブウーハーはついていない。このようにして上位モデルとの間で差別化を図っているのだろう。だが、結局これがAmazon1位になっているところから「重低音よりコスパ」ということになる。
第2位はDENONのDHT-S217Kである。2023年1月時点の価格が23,000円と第一位のSONY製品よりも随分高いのでなぜこれが第二位なのかという気になるのだが、実は「全部入り」である。Amazonの顧客も意外と冷静にスペックを見ていることがわかる。
- Dolby Atmos(立体音響)対応
- 筐体内デュアルサブウーハー
- 夜に近所迷惑にならないナイトモード
このスペックを見た後でSONYのHT-S100Fのページに戻ると「サブウーハーはないがスペックありきではなくシンプルで多くの家庭にちょうどいい」と書かれている。そこそこ満足できる性能で価格が手頃な製品かちょっと贅沢して「全部入りか」という選択になっているようだ。第3位はSONYのデュアルサブウーハー(4K対応)になっているので「ちょっといいテレビ」を持っている人は30,000円以上を出してもいいスピーカーが欲しいという人がいることになる。そして4位と5位がYAMAHAの製品である。なかなか順当なランキングと言えるだろう。
本格的にホームシアターを経験したことがある人はガッカリするかもしれない
今回導入したのはハードオフで見つけたYAS-101という初期型のサウンドバーだ。2,200円で購入した。やはりホームシアターシステムと比べると「包み込まれる感じ」はせずホームシアター並みというわけにはいかないんだなと感じた。
どちらかというと残響を使って音の解像度を上げているという感じだ。部屋の中を見回すと意外と布が多いことがわかる。このためメーカーが言うほどの音場感はない。だがそれでも使っているうちに「これは良いぞ」ということになった。期待し過ぎは禁物だがそれでもテレビやPCについているスピーカーよりは格段に音がいい。YAS-101は初期型のサウンドバーなのだが、それでもやはりそれなりにいい音がするのである。
Amazonのレビューを見るとがっかりしている人は「前に持っていたホームシアターシステムに比べると重低音が……」という人が多い。一方で初めて買った人は「価格の割に満足ができた」という人が多かった。結局、比較の問題なのだということがわかる。

置き場所は最初に検討したい
今回はハードオフにある2,200円の製品をたまたま見つけて買ってきた。だからお金を出したのに音質でがっかりするということはなかった。だが実は80cm程度の大きさがあり「これはどこに置くんだ?」ということになった。机の上には置けないので机の下に棚を作ることにした。細長い割に意外と大きいので置き場所は最初に検討しておきたい。買ってきたのに持て余したではもったいない。
最近はこの置き場所に配慮して小型のサウンドバーも売られている。たとえば2023年1月現在売上第5位のYAMAHA SRC-20Aは60cmの幅で置き場所に困らない。SRC-20Aはスペック上は5.1ch(重低音対応・2Dサラウンド)だが外付けのサブウーハーには対応していない。外付けに対応している製品はYAS-109になる。サブウーハーが最初からついているものはYAS-209という名前になる
ランキング第1位のソニーの10,000円程度のサウンドバーHT-S100Fも筐体内で重低音を響かせる仕組みだった。第3位のDENONのDHT-S217Kは筐体内サブウーハーが2機ついている。「置き場所やコスパの方が重低音よりも大切」と考える人が多いのだろう。
日本で独立スピーカー式のホームシアターシステムがあまり売れなくなったのは住宅環境の影響があるのかもしれない。サブウーハースピーカーでも置き場所に困るということなのだろう。
くれぐれも「サウンドバー」という名前に騙されないように
ややこしいことにランキングの中には単なるアクティブスピーカーも混じっている。11位に2300円のスピーカーが売られているのだがこれは単なるアクティブスピカーでサラウンド機能はついていない。名前の付け方が曖昧になっているので「サウンドバーを買ったつもりが単にアクティブスピーカーだった」ということがあり得る。メーカーのサイトで反響や音場についての記述がないものは「単なる細長いスピーカーだ」と思ったほうがいいだろう。ただ音が出るバーも「サウンドバー」には違いがない。
YAMAHA YAS-101は初期型とは言えさすがにドルビー対応が謳われている。またYamaha独自のAir Surround Xtremeという技術が使われている。HT-S100FもS-Force フロントサラウンドという仕組みで擬似的なサラウンドを達成している。
スマホ用にチューニングされた映画を見たい人にも向かない
サウンドバーを使ってみて発見したこともあった。DVDで映画を見た時にはそれなりに満足だったが、GYAOでアクション映画を見た時にセリフとアクションシーンでボリュームを何度も調整しなければならなかったのだ。
これはおそらくGYAOがスマホやPCといったあまりよくない環境で迫力が得られるように音を調整しているからなのだろう。元々サウンドバーそのものが「声」の聞き取りが良くなるように補正している。オリジナルにも補正が施されていると前提が崩れておかしなことになる。
音途切れ問題
Bluetooth機能付きのサウンドバーには音途切れ問題があるそうだ。Bluetoothの使用電波帯と2.4Ghz帯のwi-fiは電波帯が干渉するためどうしても避けられないのだと思う。MacユーザーやiPhoneユーザーがこれを回避するためには電波干渉が少ない5Ghz帯の通信や有線接続を使えばいい。そのために利用できるのがAppelTVとAirMac Expressである。どちらもハードオフなどで2,200円程度で売られていることがある。
もちろん光デジタルケーブルで物理的に接続することができる。音切れがどうしても気になるならローテクでも有線接続がおすすめだ。
お目当ての製品が見つかったら「製品名+音切れ」や「製品名+音飛び」で検索してみるといいかもしれない。SONYはわざわざ音飛び対応のページを作っている。おそらくカスタマーサポートによく問い合わせがあるのだろう。HDMIケーブルでも音飛びが出ることがあるようだ。
気楽な投資でそれなりに音が良くなるのがサウンドバー最大の魅力
ここまでネガティブなことを書くと「サウンドバーは買うな」という主張だと思われそうだが、やはり気楽な投資でそれなりに音が良くなるというのは魅力的である。
今回は2,200円の中古サウンドバーに1,000円で購入したAirMac Expressを組みあわせてMacでYouTubeを見た。これくらいの使い方であれば十分に満足ができる。「これくらいだったら投資してもいいかなあ」 という価格だ。結局光ケーブルでMacMini 2014と常時接続して使うことにした。
新品も20,000円か30,000円くらいで買えるようだ。YamahaのYAS-109(サブウーハーなしのモデル)がAmazonで23,800円だった。YAS-109にサブウーハーをつけるとYAS-209という重低音対応モデルになる。ちなみに34,000円程度でランキングは21位だ。本格重低音の優先順位は実はそれほど高くないようだ
サウンドバーはテレビの音をよくするのに向いている。座る場所は選ばないのでふとした瞬間に「あれいい音だな」と感じることが多い。
そもそも映画をじっくり見ようとする人は減っていると思う。1年に1度映画をじっくり見るためだけにホームシアターシステムを買うなら普段の音がいいサウンドバーを買った方が全体的にはコスパがいいはずだ。
それでも迷うという人のための「中古」という選択
それでも自分はどちらがいいかを迷うという人もいるかもしれない。
ハードオフにゆくと少し古めのホームシアターシステムが売られている。ジャンクで5,000円くらいだ。最初はこういうものを買って「よく使うな」と思うなら、思い切ってホームシアターシステムを購入してもいいかもしれない。初期型ホームシアターシステムといっても音質が悪いというわけではない。どちらかと言えばネットワーク対応の有無が違いになっている。
またジャンクコーナーにはアクティブスピーカーもたくさん取り扱われている。最も狙い目なのは光デジタル端子がついたiPod用のドックスピーカーだ。iPodを持っている人はもうほとんどいないのだろう。
もちろんBluetoothがついた新品を買ってもいいのだろうがジャンクで売られている格安のスピーカーを無線化してMacやiPhoneのスピーカーとして利用することもできる。このころのスピーカーはデザインが凝ったものが多く実用品としてだけでなくコレクターアイテムとしての魅力もありそうだ。
これらのスピーカーは低音の聞こえがいいということはないのだが、どこにおいてもそれなりの音が聴こえるという設計になっている。用途によって使い分けたい。



これはLogiCoolのドックスピーカーだ。